夢の内容だが幸せだったので記す


まずダブルのベッドが備えられている、狭い部屋へと向かう
このときわたしはパジャマである
愛する人と別れ、学校にでも行くようなていで向かっていた

すると、わたし以外に2人の男性がやってくる
予備校で同じクラスだった2人だ
しかも片割れはクラスでも浮いていたフランス人のような風体の軟派な男(Yとする)、もう片方はなんとなく綾野剛似の背の低い、当時わたしの想い人であった。
わたしは軽くびっくりしたがそのことを意外にもすんなり受け入れた。
今日はこのメンバーでいくのか、と理解した。

しかし様子がおかしかった。
まず綾野剛がわたしに気がありそうであった。
コミュ症ではあったが、わたしと話す際だけすこし顔を赤らめる。
え?と思い、不自然ではないくらいにボディタッチをすると異常な反応をするという風にわかりやすすぎた。
さらに、Yのほうもなんだかおかしかった。
わたしがYが普段使っている方のベッドの上で、タオルケットにくるまって綾野剛と向かい合って話していると彼は苛ついた様子で退けと言った。そのときにやっとわたしはみつけたのだ。
わたしの爪はマットブラックに染めているが、彼の爪も(この際指か)ペンキで雑に塗られたように黒がグロテスクに指先にまとっていた。
しかしもう片方の手はフレンチネイルで先のほうだけ黒にしていて は? と思ったのをよく覚えている。片方は自分でやったが、もう片方は女にやってもらったというような風であった。
彼は女遊びが得意であったのでそういう意味で合点がいった。
その流れで綾野剛の爪を見ると、右手だけ不器用に自分で塗ったように黒が塗られていた。
どうして、とわたしは言った。彼はわたしの爪を一瞥するのみだった。
そしてわたしは、そんな面倒なこと(2人がわたしに少なからずなにかを思いを抱いている)あるまいと、よかったら、友達の姉がネイリストだからかけあってみる、と言った。
綾野剛は、別に気にしないような、ありがとうとでも言いたいのか、わからない(当時もそうであった)表情をしてみせた。
わたしも過去のことだが綾野剛を好いていたので、くっつくことを許されるとあればいくらでもくっついた。
胸に顔を埋めたり、肩を枕にしてひっついたり、腕にまきついたりした。彼は拒まず、ぎこちなく愛を持って接してくれた。

そうして話をして時が過ぎると、ことは突然起こった
気づかなかったが、Yはわたしと綾野剛が触れ合っている最中どこかに行っていたらしい
帰ってきたのを見て、わたしは彼に話しかけた。只の世間話だ
わたし「そういえば…きみ、(予備校時代)よく仲良くしてたよね、あの…わたし、名前しらないんだけど、黒縁の眼鏡の…」
Y「ああ、ーーだろ?あいつなら気の強そうな女に引っかかってる」
わたし「(ええ…)そうなんだ…」
すると一拍おいて、Yが綾野剛につかみかかった。
お前!ーーーー…!
なにを言っていたか覚えていないが、元々気弱そうな綾野剛が対応できるはずがない。
その際殴られていたかどうかはよく覚えていない。頭が状況に追いつかず、真っ白だったからだ。
わたしはとりあえず、あたりを見回して特になにもなかったので食器棚をあけてスプーンを取り出した
これが一番痛まないと判断したからだ
そうして彼を何度かスプーンで殴った。刺したともいうだろうがえぐれはしなかったし血もつかなかった
Yが倒れたところで、大丈夫!?いま人を呼んでくる、と綾野剛に声をかけ、部屋を出て廊下に出た。
走るが人はいない。おかしい、と焦りで真っ白になったわたしの頭に、はっと寒気がするようなことが思い出された。
さっき食器棚をわたしが物色していなかったか?
Yは、そこを触ってはいなかったか?
わたしは踵を返した。いま綾野剛をひとりにしてはいけないという一心で部屋に戻った。

扉を開いても予想通りの状況ではなかった。
綾野剛が責められているのは確かで、少し血がみえるがナイフはない。
わたしはなにも考えず綾野剛の前にでて彼を庇った。
どうしてとは思わなかった。当然だと思った。(今思うと二人とも自分が好きなのだと確信していたからなのだと思う)
もうやめてとも言えなかった。しかし彼にこのような目に遭わせることは許しがたいことだった。

庇ったことに腹が立ったのか、ナイフではないなにかを投げ捨て、Yはどこからとりだしたのかナイフをちらつかせた。
やばい、わたし痛いのは無理だと思った
が、彼を守るのも必要なことだった
後ろではおそらく丸くなってかたかたと震えている

そしてそこからしばらくYとの問答があったようにも、なかったようにも思える
とにかく、Yは観念した
ナイフをそのまま置けばいいものを、なぜか彼は彼の左脚、太ももの振り下ろしたときに適当にあたるようなところに刺した。もちろん血液がじわっと彼のパンツに染みた。
えええええなにしてんのと思ったが言葉にはしなかった
彼は頭を抱えていた
やってしまったことから責められているようだった

わたしはまず綾野剛に(なぜか気づいたら後ろではなく隣にいた)向き直り、大丈夫?と言った
彼はうん、と返した
わたしは彼のくせっ毛な髪をくしゃっと撫でた。


ここで目が覚めた。
まるで寝た気がしない。
さらに言うと綾野剛とハグのひとつでもしておけばよかった。