わたしには誰にも言えない業がある
言えないことがまさに罪である
と思うようになってからもう何年も経つ
罪自体は無邪気な心持ちでやらかしたものであった
小学校低学年のとき
また、中学生から高校生のとき
わたしのそばにはそれからずっと誰かがついている

なんとなしにわたしに叱責するようにたしなめる
わたしは受けてばかりでその通りにずっとしてきた
もう本当の幸せを手に入れることができるとは思っていない
生きることが最大の罰である
死のうとするがすんでのところでとまる
これもなにかの呪いなのかと感じる
このまま罪業を感じたまま生きろとわたしのそばに居る誰かが言っている

幾多の人間を見てきたが、わたしが認められる人間は少ない
彼なら理解できるだろうか
理詰めでなく感情で、わたしのようにわたしのことを理解することが

彼は尊敬するひとのひとりだ
博学ということばが彼ほど合う人間はわたしの周りにはいない

彼は夢にも出てきた
このまま話せればと思った
手も触れられなかった
においなんてのもわからなかった
顔も髪もぼんやりしている
ただ、あのとき、わたしは手を重ねられれば本望だった

到底そこらのクズにわたしを理解させるつもりなんてない
わたしの練った嘘で泳ぐ姿こそ滑稽だが彼らはそう思っていない
これだからわたしは真の友達がいない

わたしはわたしほど罪深い人間でなければ受け入れるが、完全に受け入れられたためしは一度もない
わたしが口をつぐむからだ
しかし誰がなんと言おうと割るつもりはない
だからこそわたしはこれからもこれまでもずっとひとりなのだと思う